「餃子の王将」は日本のカルマキッチンだ
家入:アメリカで少しずつ増えている飲食店で、「カルマキッチン」っていうのがあって、何かというと、完全に無料で、有機野菜で作った食事が提供されるレストランなんですよ。日本でもそれをやっている。
※カルマキッチン
http://karma-kitchen.jimdo.com
来たお客さんは、無料だけどまあ料理を食べる。で、最後お会計のときに、普通の飲食店だったら伝票みたいなのをレジに持っていきますよね。でも、そこの伝票には0円って書いてあるんですよ。「今回のあなたのお会計は0円ですと。なぜなら前回来た人があなたの分を払っていったからです」と。
さらにこういうことが書いてあるんです。「もしよかったら、あなたも次の人の分を払っていきませんか」。けど、別に払わなくてもいいし、飲食店のレストランのお手伝いをするとか、野菜を収穫するとか、そういう手伝いの仕方でもいいですと。もちろん何もせずに0円で帰ってもいいですよっていうのでつながっていくレストランなんです。実際これが少しずつ回り始めているんですよね。だから、次の人の分を払う人もいるし、お手伝いをして帰る人もいる。
ひでつう:餃子の王将でもあるのよ。皿洗いでお代はタダっていうのが。京都にある「餃子の王将出町店」が、30分皿洗いするとご飯タダなんですよ。ただし学生さんに限る。
家入:え、まじで!
ひでつう:これ何十年も前からやっている、ある意味カルマキッチン。飯代ないときにお腹いっぱいになれる。多い日は10人以上希望者がきて、皿洗いの順番待ちしているっていう。
家入:へえ、面白い。
ひでつう:そう、お腹いっぱいで待っている奴が結構いる。これ家入くんぽいよね。
家入:実際にそこで世話になった学生は・・・。
ひでつう:島耕作にも、この店をモデルにしたエピソードが出てくる。
家入:やっぱストーリーが生まれてくるわけじゃないですか。そういうことですよね。結局、その場ではお金いらないけど、後で物語につながっていく。ギブ&テイクじゃないくて、ギブ&ギブってよく言われることですが。
ひでつう:僕多分、そこらへんの感覚全然家ちゃんと違うから家ちゃんのこと好きなんですけど、僕は基本的にすげえ叩かれたんですよ、人生の中で、何度も何度も。今思うと全部自分が悪いんだけどね。裏切ったり、裏切られたり、いろいろしてきている中で、やっぱり本当に悩む。家ちゃんの場合、いろいろ話を聞いていて、いつも僕が「なんで怒らないの?」って聞くと、「いや、“寂しかった”って言ってたから」とか。「ええ!?」みたいな。僕からすると、「なんだこの人、ブッダか?」ってたまに思う。で、家ちゃんが酔いつぶれている姿を見て、「やっぱりブッダじゃなかった」と思うんですけど(笑)。
そういった発想、価値観っていうのは、自分のどういった経験から生まれたの?
家入:僕は上場して、20億円くらいを個人的に得たわけですよ。そうすると、いろんな人たちが寄ってきて、未だに騙されたか騙されてないのかよくわからないけど、いろんな人たちが僕のお金を持ってっちゃった。騙されたんすかね?
ひでつう:いや、僕に聞かれても困るよ。でも、普通そういう経験したら世の中が嫌になったりするじゃないですか。
家入:嫌になりましたよ、実際。僕のお金を横領して数億円単位で使われちゃったりして、恨んだりもしたけど。
僕、過去に引きこもっていて、「こういう場所が欲しかった」みたいな感じでpaperboy&co.という会社を立ち上げたんですよ、21歳くらいのときに。そこでどんどん仲間を集めて、人とのつながりを作って、ようやく「一人じゃないんだ」って、寂しくなくなった。そこから上場して、お金を持って、お金を持っているといろんな人が集まってきて、すごく楽しかったんですよ。
ひでつう:人生で初めて、どっかーんと20億とかのお金を手にしたわけじゃないですか。
家入:はい。
ひでつう:そんときと、わーって人が集まってきたとき、どんな気持ちだった?
家入:なんかね、認められた気持ちがしたんですよね。未だに払拭できていないけど、僕はコンプレックスがすべての活動のベースになっていて。家が貧しかったとか、学歴がないとか、そういった部分で劣等感みたいなものがすごくあるんです。で、お金を使うことでたくさんの人たちがチヤホヤしてくれる状況が、僕にとっては初めて認められた気がして。だからもう、ばんばんお金を流出して、最終的に0円になっちゃたんですよ。で、お金がなくなったらお金があるときに周りにいた人たち、みんないなくなっちゃたんですよ。
ひでつう:お金持ちのときに会いたかったな僕(笑)。噂ではすごかったって。お金がなくなっちゃったら、みんなさあっと引いちゃったんですか?
家入:うーんそうね。わかりやすいくらいにいなくなって。やっぱりみんな調子いいときだけいい顔するんだなって。裏切られたと思ったり、怒りもすごいあったけど、なんだろうな、あんだけ仲間が欲しいとか居場所が欲しいってやっていたのに、気づいたらお金もなくなり、仲間もいなくなり、「俺なにやってるんだろう」ってなり、一人で。
ひでつう:それが29歳で上場した後の?
家入:30代前半くらいのとき。
ひでつう:普通そこでダメージ食らったら、引きこもりに戻っちゃうじゃない。それがなんで。
家入:でもまあ、今も引きこもりみたいなものですけどね。この数カ月ほとんど家からも出てないし。
ひでつう:そう言われると話が止まっちゃうんだけどさ。ありがとう!今日来てくれて。どうしてそんなにひどい目にあったのに許せるの? 許せるようになったの?
家入:うーんそのときに、「人との付き合い方ってなんだろう」って考えて。お金ってこういうもんだ、商売ってこういうもんだっていう既成概念を壊してみることを考えるようになったのは、このタイミングなんですよね。お金がなくなってから、「お金がなくてもできることってなんだろう」とか、「お金ってなんだろう」とか、考え始めたんですよ。
※この続きは家入一真のメールマガジン「家入学級」vol.039をご覧ください!
ダメだけど、なぜかみんなに愛されてやまない連続起業家・家入一真が、4ヶ月の準備期間を経てメルマガ界に帰ってきました!(通算3度目) 学校嫌いだった著者が「学校では教えてくれない、この世を生きる術」について、ときにマジメに、ときにはゆるく語ります。日頃、twitterで寄せられる悩みに140字を超えて答えるコーナーや、ゲストを迎えた対談、講演録なども掲載。 自分の夢に向かって頑張っている人も、世の中にちょっと生きづらさを感じている人も。日本一自由な学び場メルマガ、「家入学級」に来たれ!
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