※高城未来研究所【Future Report】Vol.278(2016年10月14日発行)より
今週は、東京にいます。
毎年10月10日前後の体育の日(10月第二月曜)は、晴れが多いので「体育の日」に定められたと言われていますが、実は俗説に過ぎません。
実際は、1964年の東京オリンピックの開催日が10月10日でしたので、それゆえのちに「体育の日」となったわけですが、この「夏季」オリンピックなのに10月10日開催になった背景には、当時の日本オリンピック委員会(JOC)が暑い夏日を避けるのと同時に、「日本の戦後の復興を世界に見せるために、絶対に晴れる日を開会式に選びたい」との強い意向から、気象庁が分析した結果、この日が選ばれました。
現在も言われる「スポーツの秋」の由来です。
1964年のこの日、前日(10月9日)は雨模様でしたが、当日は抜けるような青空の秋晴れになったそうで、なにより、いま改めて考えますと、夏季開催のはずなのに、IOCと交渉して秋開催に変更させた当時の日本の実行力は驚くばかりです。
現在のオリンピックは、スポンサードされたテレビ放映権が最大の収益源になっていますので、日程を変えることなど到底考えられないのでしょうが、1964年に開催された東京オリンピック最大のテーマは、「有色人種国家における史上初のオリンピック」であったことは、いまも記憶にとどめる必要があります。
その後に今日まで続く「アジア経済の快進撃」は、まさにこの日からはじまったのです。
一方、誠に残念ながら現在の2020東京オリンピック事情をみますと、崇高なるテーマを持ち合わせていないどころか、政治家と官僚、ゼネコンとメディアによる醜い利権争いに陥っているようにしか見えないわけで、多くの国民がシラけてしまうのも無理はありません。
2020年の東京オリンピックは、7月24日に開催予定ですが、晴れれば猛暑、荒れれば台風なことは、改めて言うまでもないでしょう。
さて、気候変動は驚くべき速度で日本を襲い、先週僕がいた北海道では、10月初旬に桜が咲き、大騒ぎになっていました!
蕎麦の収穫時期から寿司ネタまで、十年前と変わってしまう程度なら仕方がありませんが、先月には米国オバマ大統領が、気候変動による影響を十分に考慮した安全保障政策を策定するよう、関係省庁に指示する文書を出すまでに事態は深刻化しています。
隣国の脅威も取りざたされますが、いよいよ気候変動は国家安全保障に組み入れられる時代であり、最新の予測では、2040年代に北半球の主な都市は、気温上昇によって人々の生活が激変すると言われています。
1964年の東京オリンピックから再びオリンピックがやってきた2020年まで、およそ56年。
その次に東京オリンピックが開催されるのが、また56年後だと考えれば2076年ごろとなりますが、果たして地球環境はどのようになっているのでしょうか?
今週、同じくオバマ大統領は、2030年までに火星に人類を送り、長期滞在させると発表しました。
果たしてこれは、どのような目的を持つものなのでしょうか?
すでに、秋が失われ、日本の気候は2シーズン制になったとも感じますが、珍しく秋晴れらしきものもあった今週は、空を見上げ走りながら、多くを考える日々となりました。
都心の青空の下を、個人で自由に走れる時代もあったんだ、といつの日か言われる時代が来るのかもしれませんね
高城未来研究所「Future Report」
Vol.278 2016年10月14日発行
■目次
1. 近況
2. 世界の俯瞰図
3. デュアルライフ、ハイパーノマドのススメ
4. マクロビオティックのはじめかた
5. 身体と意識
6. Q&Aコーナー
7. 著書のお知らせ
高城未来研究所は、近未来を読み解く総合研究所です。実際に海外を飛び回って現場を見てまわる僕を中心に、世界情勢や経済だけではなく、移住や海外就職のプロフェッショナルなど、多岐にわたる多くの研究員が、企業と個人を顧客に未来を個別にコンサルティングをしていきます。毎週お届けする「FutureReport」は、この研究所の定期レポートで、今後世界はどのように変わっていくのか、そして、何に気をつけ、何をしなくてはいけないのか、をマスでは発言できない私見と俯瞰的視座をあわせてお届けします。
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