「信仰」が保障される社会へ
極端な話、現代科学の最先端の知見と真っ向から抵触するような考えであっても、狂信的と言うことではなく、「本当に深い」信仰を持った人々は、「科学的にはどうであれ、我々は、このような立場を取ります」と言うべきなのではないか、と私は思うのです。
そして、我々の社会は、それを許容するべきであると思うのです。本当に「多様性」を持ち、全ての人間が自らの信念のもとに生きていくことが出来る社会を実現させるとは、こうした「信仰を持った人々」の「(容易には他者から理解されないかもしれない)信仰」をも保証する社会であるはずではないでしょうか。
繰り返しになりますが、原理主義、狂信、カルトは避けねばなりません。しかし、科学という「現代における絶対」に対して、宗教(者)は、安易に妥協してもいいのでしょうか?
もちろん、現段階の私に明確な答えがあるわけではありません。しかし、それでも信仰者は「覚悟」を持って言うべきではないかと思うのです。「科学的であろうとなかろうと、我々の宗派はこうした立場を取ります。こういう『生き方』を選択します」と。
いろいろ書いてしまいましたが、こうした宗教・信仰における「公と私」、そして「科学と宗教」の関係性については、まだまだ考え始めたばかりで、上手くまとめあげるところまでできていません。
今回私が書いた内容ではとても扱うことが出来なかったような複雑な問題、重要な問題も数多く存在します。「信仰における公と私」。この問題についても、私は目を逸らさず、自分に「嘘」をつかずに、自分にとって「切実な」問題から逃げずに、目を逸らさずに、「自分の道」を歩んでいきたいと思います。今後自分の頭で考え続けていきたいと考えています。
かなり長い文章となってしまい、申し訳ありませんでした。ですが、甲野先生や森田さんのお話を伺うなかで、自分が本当に追及して考えていきたいこと、自分が本当に関心のあることが、少しずつ、明確になってまいりました。本当にありがとうございます。このようなご縁をいただけたことに感謝いたします。
田口慎也
※この記事は甲野善紀メールマガジン「風の先、風の跡――ある武術研究者の日々の気づき」 2011年11月7日,11月21日 Vol.015-016 に掲載された記事を編集・再録したものです。
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