小寺・西田の「金曜ランチビュッフェ」より

やっと出会えた理想のUSBケーブル

小寺信良&西田宗千佳メールマガジン「金曜ランチビュッフェ」2015年11月13日 Vol.057 <世界はモノからコトへ号>より

仕事柄、デジタルガジェットをたくさん抱えて移動している。いや、自分では「最低限のものを持って移動している」つもりなのだ。ただ、どんな状態でも万全の仕事が、同じようにこなせるように考えていると、どうしても増えてしまう。パソコン・スマホ・デジカメ・録音用レコーダーといったところがミニマムセットで、昔に比べれば随分軽くなったものだ、と思う。

以前にも本メルマガでお伝えしたが、私は取材用機器について、できる限り「USB系」で済むように考えている。電源も全てUSBから得られるものにしているため、昔のように充電器を持ち歩くこともないし、充電切れに怯えることもなくなっている。どうしても電源がなくて困ったら、コンビニに飛び込んでモバイルバッテリーを買えばいいのだから。

とはいえ、問題はまだある。結局、USBケーブルが邪魔だ、ということに変わりはない。micro USBケーブルを複数、袋に入れて鞄の底に入れているが、ケーブルは無駄にかさばるし、扱いづらい。

そのため、ほとんどを「巻き取り機能付きケーブル」にしていたのだが、これはこれで、理想にはほど遠かった。なにしろ壊れるのだ。取材現場で素早く使おうとすると、荒く引っ張ることになってリールが1年でダメになる。完全な消耗品扱いで、傷んだら買い換える、という感じだった。また、巻き取り機能付きケーブルは、そもそもケーブルとしての品質が低く、充電などでロスが発生しやすい。ちょっとした差だが、差があるのは事実だ。ウェブにもいくつか、実際に実験した記事がある。

・100均『USBケーブル』は外見で選べ!? 100円ショップで購入できるUSBケーブルをいろいろ比較してみました(ウェブ情報実験室)
http://japanese.engadget.com/2015/11/06/100-usb-100-usb/

というわけで、ある種「妥協」として巻き取り機能付きケーブルを使ってきたのだが、この夏、たまたま見かけたケーブルを衝動買いした結果、全ての悩みが解決することがわかった。今や、持ち運んでいるUSBケーブルの全てをこれに入れ替えてしまったほどだ。

そのケーブルとは、オウルテック社が販売している「柔らかくて絡みにくいmicroUSBケーブル」だ。

・「柔らかくて絡みにくい」ケーブル製品ページ。ページはLightning用だが、筆者はAmazonでmicroUSBの物を購入している
http://www.owltech.co.jp/products/cbjd_glt/

このケーブルの特徴は3つある。

ひとつ目は、ケーブルが軟質で四角い樹脂に覆われていること。普通のケーブルと同等の柔らかさでありながら、その形状から、非常に絡みにくい。

二つ目は、USB端子が「どちらにも刺さる」コネクタであること。最近、おもてうらどちらで刺してもOKなUSBコネクタを採用した製品が出始めているが、これもそのタイプ。だから、使うときのストレスが小さい。

三つ目は、結束用のバンドがコネクタにくっついていることだ。外れないためなくならないし、巻き取ってまとめるのも簡単だ。巻き取り式ケーブルよりは片付けるのが面倒とはいえ、このくらいなら許容できる。しかも、「絡みにくい」ので、後からイライラもしない。

・巻き取ったケーブル。これなら絡まないし扱いも簡単。

筆者はこれに、microUSB<>Lightning変換コネクタ(アップル純正品)をセットで使い、iOS機器とそうでない機器の両方で使えるようにしている。

ケーブルの取りまとめに困らなくなった上に、USBを刺す方向も気にしなくなったのは本当に快適だ。筆者が普段使っているMacBookはUSB type-Cを採用しており、これも差し込みのおもてうらがない。今季からAndroidのメイン端末を「Nexus 5X」にしたので、こちらもUSB type-C。Lightningにも、裏表がない。現在は、USB type-Cを黒のケーブル、それ以外を白にすることで、コネクター種別をわかりやすくしている。

・黒がUSB type-C系、白がmicroUSBもしくはLightningと、使い分けている

実際問題、あと1、2年でUSB type-Cが普及し、こうした苦労はかなりどうでもいいものになるだろう。だがそれでも、これだけ普及したUSB系が一気に消えることはない。もう当面、レガシーなUSB系のケーブルは、買い換える必要もなかろう。

USBケーブルは、機器を手に入れるたびについてくるため、家に箱いっぱい、捨てるほどある。買う場合も、100円ショップで十分だ。それを考えると、Amazonで1本1500円から2000円もするケーブルは高い。

それでもいいのだ。毎日のちょっとした手間とイライラがなくなるのなら。だって、美味しいご飯を1回食べに行くのを我慢するよりは安いんだから。

 

小寺・西田の「金曜ランチビュッフェ

2015年11月13日 Vol.057 <世界はモノからコトへ号> 目次

01 論壇【小寺】
 僕たちはいつまで物欲で食っていけるのか
02 余談【西田】
 やっと出会えた理想のUSBケーブル
03 対談【西田】
 「電子書籍ビジネスの真相」の真相(2)
04 過去記事【小寺】
 有料放送を破壊したB-CASハッキングの衝撃
05 ニュースクリップ
06 今週のおたより
07 今週のおしごと
 
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筆者:西田宗千佳

フリージャーナリスト。1971年福井県出身。得意ジャンルは、パソコン・デジタルAV・家電、そしてネットワーク関連など「電気かデータが流れるもの全般」。取材・解説記事を中心に、主要新聞・ウェブ媒体などに寄稿する他、年数冊のペースで書籍も執筆。テレビ番組の監修なども手がける。

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