現実をきちんと「見る」ことが難しい今こそお薦めしたい本

『ご依頼の件』星新一著

読書の原点

子供の頃に星新一のショートショートにお世話になったという人は、ずいぶん多いのではないかと思います。典型的なじっとしていられない子供だった自分にとっても、星新一ははじめて本というものに没頭させてくれた読書の原点でした。

彼の読者だった者なら誰しも、記憶に焼き付いて離れない“特別なお話”というのが一つはあると思いますが、自分の場合、特に本書に収録されている『夜の会話』がそれでした。内容は、一見するとある平凡な男のUFOそして宇宙人との遭遇を描いた軽いSFものという風なのですが、その実「現実はどうやって作る(作られる)のか?」「そもそも人がなにかを見るということとはどういうことなのか?」といった、唯識論的なテーマを扱ったお話になっているんです。

ここのところ、ますます時勢の変化が激しくなり、「現実」をきちんと「見る」ということが難しくなってきたという気がしています。そうした状況のなか、改めて“見通し”というもののありようを問う意味でも、この場をかり先のお話を紹介したいと思います。

1 2 3 4

その他の記事

「英語フィーリング」を鍛えよう! 教養の体幹を鍛える英語トレーニング(茂木健一郎)
NAB2017でわかったHDRのインパクト(小寺信良)
『寄生獣・完結編』の思わぬ副産物/『幕が上がる』は和製インターステラーだ!ほか(切通理作)
21世紀、都市の未来は「空港力」にかかっている(高城剛)
ゲームを通じて知る「本当の自分」(山中教子)
「時間」や「死」が平等でなくなる時代到来の予感(高城剛)
『戦略がすべて』書評〜脱コモディティ人材を生み出す「教育」にビジネスの芽がある(岩崎夏海)
身近な人に耳の痛いアドバイスをするときには「世界一愛情深い家政婦」になろう(名越康文)
スーツは「これから出会う相手」への贈り物 (岩崎夏海)
なぜ人は、がんばっている人の邪魔をしたくなるのか(名越康文)
メタ視点の鍛え方(岩崎夏海)
なぜアップルのユーザーサポートは「絶賛」と「批判」の両極の評価を受けるのか(西田宗千佳)
39歳の私が「人生の復路」に備えて考えた3つのこと(編集のトリーさん)
今週の動画「顔面へのジャブへの対応」(甲野善紀)
人間関係は人生の目的ではない <つながり至上社会>の逆説的生き残り戦略「ひとりぼっちの時間(ソロタイム)」(名越康文)

ページのトップへ