現実をきちんと「見る」ことが難しい今こそお薦めしたい本

『ご依頼の件』星新一著

 

中心点が見えた気がした

考えてみれば、小学生当時周囲から習っていた“宇宙”像において、その中心は自分たちの立っている地球ではなく、太陽でした。これはコペルニクスが天動説にかわり地動説=太陽中心説を唱え、ケプラーがそれを証明して以来ずっとですね。ただし、その太陽でさえ、広大な宇宙空間においては、地球らとともにはその片隅でさまよう迷子でしかありません。つまり、実感として、自分の生きる世界には、中心点がどこにも見当たらなかったんです。

ところが、遠い宇宙の向うから飛来するものとばかり思っていた宇宙人が、じつは自分を通して深く人類の意識の底に横たわる思念によって生み出され、そこからやってきたのだ。あるいは、限りなく遠く外に感じていたものが、じつは限りなく内側にあるものと一致するのだという発想に触れたとき、どこにもなかったはずの中心点(特異点)が透けて見えた気がしたんですね。

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