名越康文
@nakoshiyasufumi

名越康文メルマガ『生きるための対話』より

ダイエットが必ず失敗する理由

なぜ「夕食抜き断食」をやってみようと思ったか

僕自身は最近、「夕食抜き断食」に取り組むようになりました。

僕は昔から、暴飲暴食をするタイプではないんですが、お腹が減るとダメで、しょっちゅう何かを口にするほうだったんです。その様子から、武術の甲野善紀先生に「小鳥さん」というあだ名をつけられたくらいです(笑)。

ですから、僕を知っている人の間では僕が最近「夕食抜き断食」に取り組んでいるというのは、ちょっとした“事件”なんです(笑)。

ではなぜ、名越は夕食抜きをやってみようと思ったか。

まず背景としてここ数年、真言密教の指導を受けてきた影響があります。昔のお坊さまたちの行では、場合によっては3週間の断食、ということもするわけです。修行する方にとって断食はけっこう日常的なことだった。断食に取り組む人を間近で見て来たことが、「食を断つ」ということへの心理的ハードルを下げてくれていたということがあります。

それで一度試しに、朝起きて、コップ一杯の水だけを飲んだ状態で30分ほど暝想してみたところ、すごく集中できたんですね。しかも暝想が終わったとき、空腹感を忘れている自分に気づいた。もちろん、お腹がまったく減っていないわけではないけれど、暝想する前と比べて、明らかに空腹感から距離を取れるようになっている自分を発見したんです。

食を断つということと暝想の質、集中力の質にはかなり高い相関がある。そう考えてみると確かに、本格的に暝想に取り組んでいる人の多くが、断食にも取り組んでいるんですよね。

それで僕も「よし、断食をやってみよう」と考えたわけです。もちろん、いきなり何の準備もなく何日もの断食なんていうのは危険ですし、無理です。そこで考えた、僕の生活習慣の中でも可能な断食方法が「夕食抜き」だったんです。

ついでに最近、自分の体重の増加が気になっていて、この機会に減らしたいな、というのもありました。夕食抜きでダイエットもできれば一石二鳥だという下心もあったんです(笑)。

 

「超ライト断食」の方法

何度か試行錯誤してたどりついた僕の「夕食抜き断食」の方法は、以下のようなものです。

お昼を12:30ぐらいに食べ終わってから、夕食を抜いて寝ます。朝起きたら、水を飲んで暝想します。そして11:30ぐらいに朝昼兼用のブランチを食べる。そうすると約23時間、1日弱の断食になる。

もちろん23時間の間、何も口にしないわけではありません。水分はしっかりとります。水が中心ですが、野菜ジュースひとパックぐらいはOK、ということにしています。また、ミックスナッツを一袋ぐらいまでの、軽い間食をすることもあります。僕がやっているのは、それくらいの「超ライト断食」なんです(笑)。

それでも最初のうち、15時くらいのおやつ時や夜中に強い空腹感がやってくることがありました。そういうときは、単なる空腹感というよりは、けっこう明確に「砂漠でひからびて死んでいる自分」のようなイメージが頭に浮かんできます。

でも、よく考えるとそういうイメージは、妄想以外の何ものでもないわけですよね。きちんと準備をされているとはいえ、お坊さまは、長い場合は20日以上も断食をしますし、一般の方でも、僕の知り合いには、会社勤めをしながら「週末断食」といって、3日間くらいの断食を習慣的にやっている方がいらっしゃいます。そう考えれば、別に1日食べなくたって死ぬわけじゃない、ということは紛れもない事実なわけです。(もちろん、体調が悪いのに無理してやってはいけませんが)

ですから、空腹感が襲ってきたら、我慢するんじゃなくて「この空腹感は妄想!」と唱えて、その都度払っていく。そうすると、「夕食抜き断食」の実践はそれほど難しいものじゃなくなってくる。認識を変えるということが、すごく重要なんです。

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名越康文
1960年、奈良県生まれ。精神科医。相愛大学、京都精華大学客員教授。 専門は思春期精神医学、精神療法。近畿大学医学部卒業後、大阪府立中宮病院(現:大阪府立精神医療センター)にて、精神科救急病棟の設立、責任者を経て、1999年に同病院を退職。引き続き臨床に携わる一方で、テレビ・ラジオでコメンテーター、映画評論、漫画分析など様々な分野で活躍中。 著書に『心がフッと軽くなる「瞬間の心理学」』(角川SSC新書、2010)、『毎日トクしている人の秘密』(PHP、2012)、『自分を支える心の技法 対人関係を変える9つのレッスン』(医学書院、2012)、『質問です。』(飛鳥新社、2013)、『驚く力 さえない毎日から抜け出す64のヒント』(夜間飛行、2013)などがある。 名越康文公式サイト「精神科医・名越康文の研究室」 http://nakoshiyasufumi.net/

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