津田大介
@tsuda

津田大介のメルマガ『メディアの現場』より

日本の脱原発は本当に可能なのか?――ドイツ10年の歩みに学ぶエネルギー政策

脱原発における最大の課題

津田:では最後に、日本もそれからドイツも――脱原発に向かうすべての国が抱えているであろう最大の課題についてお話を伺います。ドイツでは、使用済み核燃料の再処理や最終処分についてはどのように考えられているのでしょうか?

小嶋:東西ドイツ時代の1977年に、西ドイツのコール政権が旧東ドイツ国境付近のゴアレーベンを最終処分場候補地に選定しました。ゴアレーベンの地下には硬い岩塩層が広がっており、直接処分には適しているとされたんですね。しかし、その後の調査で岩盤層近くに地下水脈があることがわかり、2000年に調査を中断してしまいます。地域住民や緑の党などから反対の声が上がっていたこともあり、2011年11月には、当時のレトゲン環境相がゴアレーベンでの最終処分場建設計画を撤回しています。[*46]

津田:最終処分場が決まっていない――日本と同じ状況なんですね。

小嶋:はい。ただしドイツの場合、2002年の原子力法改正で使用済み核燃料の再処理が禁止されているので、直接処分するしかないんです。[*47] 最終処分場が見つかるまでは中間貯蔵しなければならないのですが、使用済み燃料を長距離移動させるわけにはいきません。つまり、中間貯蔵施設は自動的に原発敷地内や隣接する土地に設置しなければならなくなった。先ほど話に出た原発の町・エッセンバッハでも、5~6年前に中間貯蔵施設を作り、40年という期限で使用済み核燃料を貯蔵しています。

津田:将来、最終処分場が決まったらそっちに移しますよ、と。

小嶋:そういう約束にはなっていますが、果たしてあと35年の間に最終処分場が決まるかどうか――住民の皆さんはかなり不安に思っているようでした。なし崩し的に最終処分場になってしまうんじゃないかと懸念しているんです。

津田:脱原発先進国のドイツですら、放射性廃棄物の最終処分に関しては答えを持ち合わせていない――。この問題については津田マガでもたびたび取り上げてきましたが、[*48] いくら考えても解決策が見つからず、途方に暮れてしまいます。ほんと、どうするんでしょうね。日本人というか人類は……。

小嶋:日本やドイツだけの問題じゃないですからね。答えがないのなら、現状で考えうる最善の策は、これ以上核のゴミを増やさないこと。そのためにも脱原発を進めるしかないんだと思います。ドイツ連邦議会のブーリング・シュレーター環境委員長は、僕たちにこう言ってくれました。「政権が交代したとしても、後戻りができなくなるような法律をまず作ってほしい」と。まさに今、その第一歩を踏み出す段階になっているんじゃないでしょうか。

津田:そう。少なくとも、日本人はパブリックコメントやデモで意志表示し、結果的に各党が脱原発方針を公約に掲げるようになった。来週に迫った選挙でどの党が勝利しても、脱原発に関しては悪い選択にならないと信じたいですね。あとは、未来の与党がどれだけ行動力をもってやってくれるのか。つねに高い関心を持ち続け、国民的議論を絶やさないようにするのがメディア役割だし、国民が自分たちで当事者意識を持って考え続けることが何よりも大事なんでしょうね。ドイツ取材、お疲れ様でした!

 

《この記事は「津田大介の『メディアの現場』からの抜粋です。この続きは、ぜひご購読をお願いします。》

 

[*1] http://coalitionagainstnukes.jp/?page_id=1855

[*2] http://www.sponichi.co.jp/society/news/2012/11/27/kiji/K20121127004652350.html

[*3] http://www.seikatsu1.jp/germany/index.html

http://midori1kwh.de/2012/10/28/2561

[*4] http://www.seikatsu1.jp/policy.html

[*5] ブロマガの特別企画として、ドイツ取材のリポートを生放送(タイムシフト視聴可)した。

小沢一郎ドイツ脱原発視察 現地取材リポート 1

http://live.nicovideo.jp/watch/lv111780040

小沢一郎ドイツ脱原発視察 現地取材リポート 2

http://live.nicovideo.jp/watch/lv111780048

小沢一郎ドイツ脱原発視察 現地取材リポート 3

http://live.nicovideo.jp/watch/lv111780052

日本で脱原発はできるか 小沢一郎ドイツ脱原発視察 総まとめ

http://live.nicovideo.jp/watch/lv112591373

[*6] http://www.jcp.or.jp/akahata/aik12/2012-11-26/2012112606_01_1.html

[*7] http://www.afpbb.com/article/politics/2831350/7847178

[*8] http://news.livedoor.com/article/detail/5514148/

[*9] http://midori1kwh.de/2012/09/16/2371

[*10] P5「ドイツの再生可能エネルギー中・長期目標」

http://www.ecolosia.jp/p/pdf/germany1.pdf

[*11] http://www.eic.or.jp/library/pickup/pu110603-1.html

[*12] http://dl.ndl.go.jp/view/download/digidepo_3497220_po_02520007.pdf?contentNo=1

[*13] http://www.asahi.com/eco/TKY201009060420.html

[*14] http://www.ndl.go.jp/jp/data/publication/legis/pdf/02460103.pdf

[*15] http://business.nikkeibp.co.jp/article/world/20110516/219996/

[*16] http://www.yomiuri.co.jp/world/news/20110606-OYT1T01017.htm

[*17] http://jp.reuters.com/article/businessNews/idJPTYE8AF03A20121116

[*18] http://www.bdew.de/internet.nsf/id/EN_Home

[*19] http://www.fepc.or.jp/

[*20] http://sankei.jp.msn.com/world/news/120613/erp12061323080004-n1.htm

http://eneken.ieej.or.jp/data/4495.pdf

http://www.fepc.or.jp/library/kaigai/kaigai_topics/1217718_4115.html

[*21] http://www.fukuishimbun.co.jp/nationalnews/CO/world/456247.html

[*22] 8.9「ドイツ:グンドレミンゲン原子力発電所A号機」

http://www.jnes.go.jp/content/000014750.pdf#page=104

[*23] http://www.alterna.co.jp/5416

[*24] http://www.fukuishimbun.co.jp/localnews/npp_restart/34709.html

[*25] http://www.fepc.or.jp/nuclear/chiiki/nuclear/seido/index.html

[*26] http://genuinvest.net/?eid=1533

[*27] http://www.osaka-ue.ac.jp/gp2006/doc/att_3.pdf

[*28] http://www.newsdigest.de/newsde/news/featured/3559-873.html

[*29] http://www.enecho.meti.go.jp/saiene/kaitori/index.html

http://www.gov-online.go.jp/useful/article/201110/4.html

[*30] http://www.jiji.com/jc/zc?k=201210/2012102000168&g=pol

[*31] http://eneken.ieej.or.jp/data/4358.pdf

[*32] http://www.iam.dpc.u-tokyo.ac.jp/workingpapers/pdf/papers_100131wp.pdf#page=17

[*33] http://jp.reuters.com/article/forexNews/idJPnTK029545320090821

http://www.jiji.com/jc/rt?k=2012052800241r

[*34] http://www.asahi.com/international/update/0628/TKY201206280442.html

[*35] http://www.nikkei.com/article/DGXNASFS22014_S2A420C1MM8000/

本メルマガVol.45の「メディア・イベントプレイバック」で、東京工科大学大学院ビジネススクール教授の尾崎弘之さんが再生可能エネルギー全量買取制度の問題点を解説している。

http://tsuda.ru/tsudamag/2012/09/198/

[*36] http://www.eic.or.jp/ecoterm/?act=view&ecoword=%A5%D0%A5%A4%A5%AA%A5%AC%A5%B9

[*37] http://www.biogastechnik.de/

[*38] http://www.jetro.go.jp/jfile/report/07000984/report.pdf#page=10

[*39] http://www.afpbb.com/article/environment-science-it/environment/2798175/7160364

[*40] http://www.itmedia.co.jp/smartjapan/articles/1206/21/news095.html

[*41] http://www.meti.go.jp/committee/sougouenergy/sougou/denryoku_system_kaikaku/pdf/004_04_01.pdf#page=5

[*42] http://www.soumu.go.jp/g-ict/country/germany/pdf/049.pdf#page=2

[*43] http://www.tkumagai.de/Eco%20unbundling.html

[*44] http://blog.livedoor.jp/murakamiatsushi/archives/51384274.html

http://www.juno.dti.ne.jp/~tkitaba/earth/nuclear/news/11051701.htm

[*45] http://www3.ocn.ne.jp/~elbe/kiso/atomdata03.html

[*46] http://s.webry.info/sp/rengetushin.at.webry.info/201111/article_5.html

[*47] http://tkajimura.blogspot.jp/2011/11/blog-post_23.html

[*48] Vol.44「2030年、日本の原発はゼロになる?」
http://tsuda.ru/tsudamag/2012/09/196/

Vol.46「原発ゼロ政策、なぜ骨抜きになったのか」
http://ch.nicovideo.jp/article/ar7931

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津田大介
ジャーナリスト/メディア・アクティビスト。1973年生まれ。東京都出身。早稲田大学社会科学部卒。早稲田大学大学院政治学研究科ジャーナリズムコース非常勤講師。一般社団法人インターネットユーザー協会代表理事。J-WAVE『JAM THE WORLD』火曜日ナビゲーター。IT・ネットサービスやネットカルチャー、ネットジャーナリズム、著作権問題、コンテンツビジネス論などを専門分野に執筆活動を行う。ネットニュースメディア「ナタリー」の設立・運営にも携わる。主な著書に『Twitter社会論』(洋泉社)、『未来型サバイバル音楽論』(中央公論新社)など。

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