高いエステはなぜ痛いのか
「高いエステは痛い」理由は、そうじゃないと、お客さんが納得しない、満足しないからだと思います。
おそらく、強い刺激を受けているとき、僕らの心はものすごく生きている「実感」を覚えるのでしょう。エステの場合でいえば、痛ければ痛いほど「納得の強度」は上がっていく。刺激が強ければ強いほど、生きる実感を覚えるんです。
だから、針を刺すとか、しみるとか、刺激が強いエステのほうが、高い料金を取っても納得してもらいやすいのでしょう。
しかし問題は、そうやって刺激によって得られた「生きる実感」が本物かどうかということです。残念ながら、「単に心が刺激に振り回されているだけ」という可能性は高いですよね。
本当は、そんな強い刺激によって振り回されていない時のほうが、僕らは繊細に物事を感じ取ることができるし、何事においても高いパフォーマンスを発揮できるはずです。しかし僕らはついつい、より強い刺激を求めてしまう。
僕らが落ち込んだり、舞い上がって何か失敗をしでかしているときには、たいてい強い刺激によって心が揺さぶられているときです。にもかかわらず、僕らは強い刺激を受けることを好き好んで選ぶ。そうすることによって、静かな心の状態、本来の自分のありようから、どんどん遠ざかってしまうんです。
この悪循環から抜け出すためには、「強い刺激によって動かされている自分」というのは、「刺激に振り回されてしまった自分」であって、本来の自分ではない、ということを繰り返し学ぶ必要があります。
僕らの心が常に刺激を求めていること、言い換えれば、僕らの心は「傷つくことを求めている」という認識から出発することが、これからの時代、すごく重要になってくると思うんです。

その他の記事
![]() |
いじめられたくなければ空気を読め(岩崎夏海) |
![]() |
日本のものづくりはなぜダサいのか–美意識なき「美しい日本」(高城剛) |
![]() |
谷村新司さんの追悼と事件関係(やまもといちろう) |
![]() |
結局Apple WatchとAndroid Wear搭載Watchは何が違うのか(小寺信良) |
![]() |
東大生でもわかる「整形が一般的にならない理由」(岩崎夏海) |
![]() |
統計学は万能ではない–ユングが抱えた<臨床医>としての葛藤(鏡リュウジ) |
![]() |
ネット上で盛り上がってる「働き方論」はすべてナンセンスです!(宇野常寛) |
![]() |
低価格なウェアラブルモニター「Vufine」(西田宗千佳) |
![]() |
日本が観光立国になり得るかどうかの試金石はVIPサービスにあり(高城剛) |
![]() |
観光業の未来を考える(高城剛) |
![]() |
目的がはっきりしないまま挑戦する人の脆さと凄さ(やまもといちろう) |
![]() |
原発にドローン3機が飛来で大騒ぎに(やまもといちろう) |
![]() |
「貸し借り」がうまい人は心が折れない(岩崎夏海) |
![]() |
「都知事選圧勝」小池百合子は日本初の女性首相の夢を見るか?(やまもといちろう) |
![]() |
メディアの死、死とメディア(その2/全3回)(内田樹) |