社会のシステム化が「うつ」を呼ぶ
共感ですらシステム化されていく社会の中で、「驚く力」は、本当の意味での「共感」を呼び覚ますスイッチになりうると僕は考えています。
そこに取り組まない限り、僕らの社会全体を取り巻くある種の「うつ」状態から抜け出すことは難しいと僕は思う。というのも、「うつ」の根底には、自分の人生が「システム」に支配されているという思い込みがあるからです。
システムは、あらゆることは予測可能であり、予定調和であることを求めます。それは確かに安全・安心な世界かもしれませんが、社会がそちらに向かえば向かうほど、僕らは抑うつ状態から抜け出しにくくなっていきます。
システムがよくできていればできているほど、うつは強くなる。そういう意味では、3.11のような天災によってシステムが一時的に崩壊したときは、僕らが驚く力を取り戻し、うつ状態から抜け出すという点では「チャンス」でした。
しかし実際には、少なくとも社会全体としては、より強固なシステム、より間違いない予定調和を求める方向に進み、さらに社会の抑うつの度合いは増しているように思います。
おそらく、東北で実際に被災した方々の中には、そういう「システムをより強化する方向性」に疑問を抱き、違う方向に舵を切ろうとした人も少なからずいたはずです。しかし、多くの日本人は、結果的にはシステムを強化する方向を選んだ。
それくらい僕たちは、システム化されることを、自ら望んでしまう傾向を持っている。その一方で、世界を完全にシステム化することは不可能であることもまた、どこかで気づいてもいる。

その他の記事
![]() |
話題のスマホ「NuAns NEO」の完成度をチェック(西田宗千佳) |
![]() |
広大な地下空間で考える東京再活性化の秘訣(高城剛) |
![]() |
大観光時代の終焉(高城剛) |
![]() |
「奏でる身体」を求めて(白川真理) |
![]() |
津田大介×石田衣良 対談<前編>:メルマガは「アナログ」なメディアである(津田大介) |
![]() |
ソフトバンク・Pepperの価格設定から見る「売り切り時代」の終わり(西田宗千佳) |
![]() |
泣き止まない赤ん坊に疲れ果てているあなたへ(若林理砂) |
![]() |
これからのビジネスは新宗教に学んだほうがいい!(家入一真) |
![]() |
睡眠時間を削ってまで散歩がしたくなる、位置情報ゲームIngress(イングレス)って何?(宇野常寛) |
![]() |
ポストコロナという次の大きな曲がり角(高城剛) |
![]() |
『秋の理由』福間健二監督インタビュー(切通理作) |
![]() |
れいわ新選組大石あきこさんの懲罰動議とポピュリズム(やまもといちろう) |
![]() |
観光業の未来を考える(高城剛) |
![]() |
NAB2017でわかったHDRのインパクト(小寺信良) |
![]() |
「他人に支配されない人生」のために必要なこと(名越康文) |